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11/4
2016

“75日移動平均線”を巡る攻防戦 - すでに“トランプリスク”はヘッジした…!?

 “明確な時期”こそ明示されなかったものの、FOMC声明では“12月利上げの可能性が示唆”されました。また米雇用統計の前哨戦は“概ね強め”が相次いでおり、ドルにとって悪い結果が出たわけでもありませんでした。しかしながら根強い“トランプリスク”が、それらを上回って意識されたようです。

 

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 休場となった昨日(3日)東京タイムにかけて、ドル円は102円半ばへと売り込まれました(①)。日足・一目均衡表先行スパンの雲の中に押し戻された(②)格好であり、テクニカル的には決して芳しいとはいえない形状となっています。

 

 こうした状況下、本日は米雇用統計が行われます。事前予想は非農業部門雇用者数(NFP、+17.5万人)失業率(4.9%)、時間当たり平均賃金(+0.3%)となっており、予想を下回るようなことがあると、さらなるドル売りが持ち込まれる可能性も否定できないところです。

 

 しかしながら米7-9月期GDPが2年ぶりの高水準(+2.9%)を見せる中、雇用統計の前哨戦はいずれもが“強め”を示しました。特にこれまで雇用の足を引っ張ってきた製造業の改善が顕著(ISM製造業景況指数は51.9、構成項目である雇用指数は昨年6月以来の52.9)であり、ADP雇用統計も前月分が大幅に上方修正(+15.4万人 ⇒+20.2万人)されています。ISM非製造業景況指数こそ、構成項目である雇用指数を含めて前回値を下回りましたが、それでも好況・不況の境とされる50は大きく上回る水準(54.8/53.1)は維持しています。このため“極端に悪い数値”となる展開は想定しづらく、 “12月利上げを覆す”といった展開も想定しづらいということになります。

 

 そうなるとドルの先行きを占う上で問題となってくるのは、やはり来週に控えた大統領選(トランプリスク)ということになります。「トランプ氏が1ポイント逆転(ABC/ワシントンポスト)」と報じられた1日以降、懸念は依然として燻り続けているからです。

 

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 もっとも冒頭で記した3日安値(102.536円)は、テクニカル的に見ると“8/16~10/28の50%押し水準(102.513円)”に合致(③)します。…のみならず“75日移動平均線(本日は102.491円)”にも合致(④)しています。特に後者は“今年のドル円の上値を何度となく押さえ込んできた抵抗ライン”であり(⑤)、“同ラインを突破でドル買いに弾みがついた”のは記憶に新しいところです(⑥)。「強力な抵抗線は、一度抜けると強力な支持線として機能する」がテクニカルのセオリーであることを考えると、“下げ止まり”への期待も募ろうかといったところです。

 

 もちろん“選挙は水物”ですので、結果が出るまで“トランプ氏勝利⇒瞬間的にドル売りに傾斜”の可能性を払拭することはできません。しかし昨日には「クリントン氏が2-3ポイント優勢(NYタイムズ)」と報じられたように、“トランプリスク一色”というわけではありません。また選挙の当落に直接影響する“選挙人数予測”では、依然として「クリントン氏の優位」が複数の調査から鮮明になっています。何よりマーケットの注目が“米利上げ”“原油動向”“中国情勢”と多岐にわたる中、それでいて“米大統領選のみ”を囃した現在のリスク回避姿勢には違和感を覚えざるを得ないところです。

 

 “ブレグジット”というトラウマを抱えたマーケットとしては、“慎重に構えざるを得ない(リスクヘッジをせざるを得ない)”局面かもしれません。しかしそれも“ある程度は織り込んだ”…?持ちこたえられるかどうかの“ギリギリの水準”ではありますが、“トランプリスクを乗り越えて…”への期待は膨らむばかりです。

(2016年11月4日執筆)

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武市 佳史

ファイナンシャル・プランナー 武市 佳史(takechi yoshifumi)

大阪府出身。ファイナンシャル・プランナー(AFP)、テクニカルアナリスト。
日本におけるFX(外国為替証拠金取引)の草創期より業務に従事。数多くの一般投資家と接しながら、現在はFX大手「マネーパートナーズ」のチーフアナリストとして、為替コラム執筆やWebセミナー講師を務めるのみならず、日経CNBCを始めとする数々のメディアに出演・寄稿している。「初心者には分かり易く、上級者も納得」がモットー。