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12/2
2016

上値が押さえられやすい局面だが、頭打ち(天井)はまだ先…!?

“トランプ期待”を背景にしたドル買いは、あれよあれよという間に“15/6/5~16/6/24の50%戻し(112.371円 ①)”を突破し、昨日には114円後半へと上値を伸ばしました。米雇用統計ならびにイタリア国民投票というリスクイベントを控え、本稿執筆時点ではやや調整色を強めていますが、それでも大きく崩れる印象は現時点では見られておりません。

 

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図①(日足)

 

 テクニカル的には“明らかに往き過ぎ”の部類に入り、上昇スピードも“極めて速い”といえます。このためテクニカルを齧ったことがある者ならば「いつ反落してもおかしくない」との思惑が、頭をよぎることでしょう。しかしながら現時点では“この思惑がドル円の下支え”として機能している感が否めず、一筋縄ではいかない動きにつながっています。

 

 …というのは、“ドル買いへすぐに転換”した米投機筋とは異なり、日欧の機関投資家/投機筋/実需筋は“上昇スピードに付いていけず”“ドル買い遅れ”が目立つからです。特に「買わなければならない」はずの需給絡みも「買えておらず」、そうなると「いつ調整反落してもおかしくない」と思ったとしても、「下がったところはすぐにドルを買わざるを得ない」。つまりは「必然的に下落余地は限定される」と見ることが、可能ということになってきます。

 

 もちろん今回も“懸念材料がない”というわけではありません。前記した“往き過ぎ感”はもちろんのこと、“IMMポジションの円買い比率低下”は“積み上がったドル売り/円買いポジションの巻き戻し圧力後退”を示唆していると見るのが自然です。何度となく見られた“踏み上げ(ストップロス)”も、今後は影をひそめるかもしれません。また“欧州がきな臭く”なってきていることにも、気を配っておく必要があります。今週末(4日)にはイタリア国民投票が行われますが、仮に否決ともなれば「レンツィ氏退陣⇒反EU政権誕生⇒イタリアもEUから離脱?⇒その他EU加盟国に伝搬」との思惑が喧伝されやすく、“リスク回避台頭⇒円買い”に振れてもおかしくないからです。なにより米地区連銀経済報告〈ベージュブック〉に記載された「いくつかの地域でドル高が向かい風」との文言は、懸念しておく必要があります。トランプ氏本人もしくは次期政権を担う関係者、あるいはイエレン議長辺りから“ドル高けん制発言”が跳び出すようなことがあれば、センチメントが一気に反転するリスクを孕んでいるといえるからです。

 

 それでも“後押し材料が減退したに過ぎない(IMM)”“すぐにEU離脱へ振れるわけではない(国民投票)”“いつ出るか?あるいは出ないのか?わからない(けん制発言)”と裏の見方が可能な中、「米次期財務長官にゴールドマンサックス出身・ムニューチン氏」との報が飛び込んできました。ウォール街出身の財務長官誕生は“金融規制緩和等への期待”を誘いやすく、“株高⇒ドル高”への連想が膨らみがちです。また同氏の「米経済成長率を2倍に…」発言は、“財政支出+大型減税”から派生する“インフレ観測(トランプ期待)”をより後押しするものです。

 

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図②(週足)

 

 週足チャートを見ると、“一目均衡表先行スパンの雲(上限は115.411円)”に潜り込んでおり(②)、すでに“100週移動平均線(現在は114.751円 ③)”にも達しています。 “心理的節目(115円ライン ④)”“15/6/5~16/6/24の61.8%戻し(115.550円 ⑤)”もすぐ上に控え、さらに前記した懸念材料も加味すれば、“一旦は上値が押さえられる”と考えるのが自然なのかもしれません。しかしながら「ファンダメンタルズならびに需給はテクニカルに勝る(ファンダメンタルズ>需給>テクニカル)」がマーケットの基本である中、そのファンダメンタルズ/需給には現時点で反転の兆しが見られておりません。…となると反落したとしても、それはあくまでもポジション調整…。

 

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図③

 

 いつまでも“上がり続ける”という相場はありませんので、いずれかの時点で“頭打ち・下落”へと転じるのでしょう。しかしそれはまだ先の話…。強烈な“リスク回避姿勢の台頭”もしくはファンダメンタルズ/需給に影響を及ぼす “ドル高けん制発言”が飛び出してこない限り、“ドル買い基調は継続”“押したところは買い拾いも継続”と見たいところです。上昇幅から考えると“11/9~12/1の38.2%押し(109.616円 ⑥)”辺りまで欲張りたいところですが、“11/28~12/1の50%押し(113.087円 ⑦)”“同61.8%押し(112.678円 ⑧)”辺りまで押してくれるようなことがあると、御の字…?

 

(2016年12月2日執筆)

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武市 佳史

ファイナンシャル・プランナー 武市 佳史(takechi yoshifumi)

大阪府出身。ファイナンシャル・プランナー(AFP)、テクニカルアナリスト。
日本におけるFX(外国為替証拠金取引)の草創期より業務に従事。数多くの一般投資家と接しながら、現在はFX大手「マネーパートナーズ」のチーフアナリストとして、為替コラム執筆やWebセミナー講師を務めるのみならず、日経CNBCを始めとする数々のメディアに出演・寄稿している。「初心者には分かり易く、上級者も納得」がモットー。