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6/5
2017

今週の為替相場を考える(6月6日~6月9日)

先週は週末の弱い米雇用統計で流れは急変しています。今週の為替相場を考えると複雑な状況が絡み合い、その結果で相場の動きが急変することが予想され、注意が必要な週といえるでしょう!

 

過去の教訓から考えてもイベントの結果で方向線が変わり短期変動が激しくなることが多く、金利差やテクニカルだけでは相場を予測することは難しいと言わざるをません。「今週の主な材料」と合わせ、今週の為替相場を考えて下さい。

 

⇒ 政治的には「ロシアゲート疑惑」の真相をめぐり、コミー前FBI長官の証言が米国発の最も重要は材料です。ランプ大統領や政権指導者の関与が証言されドル売りとなるのか? それとも関与は否定されドル買いとなるのか?

 

⇒ イギリス総選挙で、メイ首相の保守党が安定過半数を維持し、英国のEU離脱を積極に推し進めることができポンド高になるのか? 過半数に届かずポンド急落となるのか? 

 

⇒ フランス国民議会選挙で、マクロン大統領の「共和国前進」が過半数を得ることができ、ユーロ圏の政治的な安定がより確固たるものになり、ユーロ高となるのか? それとも過半数を大幅に割り込み政治的リスクにユーロ売りになるのか?

 

⇒ ECB理事会では、市場は金融政策の据え置きが予想され、ユーロ相場にとってすでに織り込まれています。ただ、ドラギECB総裁の記者会見では慎重姿勢の維持を織り込ながらも、ガイダンスの調整が示されるか否かで、ユーロ相場の動きが変わってくる可能性もあります。

 

⇒ それ以外でも、カナダ雇用統計は? 豪GDPは? 豪中銀の金融政策と声明は? 日本のGDPは? これらが予想外となれば相場が動くことでしょう。

 

⇒ 米国では、足踏み状況を示していた米経済指標は、予想通り第1四半期の低迷から第2四半期に上昇トレンドに戻ることができるのでしょうか? 先週の製造業に続き、米ISM非製造業景気指数は? 非農業部門の労働生産性は? 単位労働コストは? 製造業受注・耐久財受注は? 労働市場情勢調査(LMCI)は? JOLT労働調査は? 卸売在庫は? などの米経済指標も気になります。

 

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今週の【通貨ペア別のレンジ予想】

 

◎USDJPY【予想レンジ メインシナリオ 110.00~112.00、109.60割れは続落へ】

 

USDJPYは、株高もあり盛り上がった円売り相場も111.70でストップ。米雇用統計の結果で短時間に先週の最安値を更新し110.30台まで下落し、結果的に110.00~112.00のレンジ内に収まっています。

 

今週も日本発の材料は8日のGDP第2次速報値以外見当たらず、日本株の動向で上下しながらも、外的要因がニュートラルと考えれば、USDJPYは上昇する可能性が高いと思われます。しかし、今週は大相場となりうる外的要因「コミー前FBI長官の議会証言+ロシアゲート疑惑の進展」、「英仏選挙の結果」、「米金利と米株の動向」で相場が動き、リスクオン=円安、リスクオフ=円高と素直に考えてもいいでしょう。また、英仏選挙の結果で、GBPJPYとEURJPYが動き、結果としてUSDJPYが動く可能性は高いことも忘れてはなりません。

 

テクニカルでは、先週1時間チャートは200時間SMAを超えてから上昇ムードがたかまり、週末に逆に111.30を割り込み売りへと変化しています。今週は200日SMA=110.13が重要なポイントで、安値200SMA=109.58を割り込むと大きな変化につながる可能性もあります。

 

IMM通貨先物の円ポジションでは、円のネットショートは-51,656→-52,275とショートが小幅増加していますが、過去19週の平均-49,815に近く、安定したショートのポジションが維持されている状態です。USDJPYのオプションでリスクリバーサルではドルプットオーバーは変わりませんが、1mでは先週の-1.55%→-1.35%とやや弱まっています。

 

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◎EURUSD【予想レンジ1.1200~1.1450、または、1.0950~1.1300】

 

EURUSDは1.1100、1.1200と底値を切り上げ、1.13の大台を狙える位置を維持しており、上昇力を維持していると考えてもいいでしょう。ただ、今週はコミー前FBI長官の議会証言や、英仏の選挙結果で、EURGBPの変動もありユーロ相場が変動することは避けられそうにありません。過去の変動を見ても結果による一時的、または、継続的な変動は激しく、今週のEURUSDは予断を許さない状況となっています。

 

テクニカルでは、200時間SMA=1.1200を割り込むことはなく、5月2日の高値1.16台を目指しています。オシレーター系のWeeklyベースでは買われすぎの状態で、先週もその可能性が意識されていましたが、週足のローソク足は過去2週間の高値を上回り終了したことで、強さが再評価されEURUSDの上昇が続きそうです。

 

IMM通貨先物の円ポジションでは、ユーロのロングは4週連続し、ネットでは+72,869コントラクトへ拡大しており、2013年10月22日の水準近くへ上昇しましたが、週末の急伸を除けば過熱感はあまり感じられません。EURUSDの1mオプションのリスクリバーサルでは前週の-0.10→+0.00%へ変化しています。

 

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◎GBPUSD【予想レンジ 1.2600←1.2750~1.2950、または、1.2800→1.3300】

 

GBPUSDは、総選挙前にテロ攻撃が多発していることも気になりますが、本命はメイ首相の保守党が選挙で過半数を維持できるか? これに尽きます。同日8日のコミー前FBI長官の議会証言の結果と合わせて考える必要があります。

 

先週末は、選挙の世論調査でメイ首相の保守党に対して弱気な結果が多く、弱い米雇用統計の結果で主要国通貨の上昇にもかかわらず、GBPUSDの上値は重く逆にクロスではGBP売りが目立っています。ただし、この世論調査は調査会社で強弱に大きな差があり、結果を見るまでは分からない状況となっていると考えてもいいでしょう? つまり、強ければ数百pips程度は上昇し、弱ければ逆に低下するとも考えます。

 

テクニカルでは、200時間EMA=1.2885を上回り終了、高値200時間EMA=1.2894を終値ベースで超えることができませんでしたが、強さを維持していると思えてなりません。200日EMA=1.2816でこの水準を引き続き上回り上昇し、下値のポイントとなっています。

 

IMM通貨先物の円ポジションでは、ロングへの転換も期待されましたが逆に、-29,651コントラクトへとショートが-5,784拡大し、ロングへの転換は英総選挙の結果次第と考えてもいいでしょう。GBPUSDの1mオプションのリスクリバーサルは、ポンドプットオーバーで、先週末-0.55→-1.60と急拡大し、今週の英総選挙のリスクを織り込んでの動きと考えてもいいでしょう。ただし、GBPUSDのプット急拡大の割には、スポット市場は安定し違和感を覚えます。

 

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今週の主な材料(6月5日~6月9日)

 

今週は変動要因が多数控えており、ともに為替相場の変動要因としては最重要。

 

1.【コミー前FBI長官の証言(6/8)とロシアゲート疑惑行方】
2.【イギリス総選挙(6/8)】
3.【フランス国民議会総選挙 第1回投票 (6/11)】
4.【ECB理事会とドラギECB総裁記者会見(6/8)】
5.【豪中銀 金融政策発表(6/6)】
6.【豪州 第1四半期GDP(6/7)】
7.【カナダ 雇用統計(6/9)】

 

1.【コミー前FBI長官の証言(6/8)とロシアゲート疑惑行方】
6月8日10:00時(日本時間8日23:00時)。米大統領選でロシアの介入疑惑を捜査している上院情報委員会で、ロシア関連の疑惑の捜査を指揮していたコミーFBI長官を突然解任されたことを調査。フリン氏のロシア関与への追及をやめるように圧力をかけたことを証言するとみられていますが、2日のWSJ紙では、トランプ大統領が証言を阻止するための法的な選択肢を検討とあり、どうなることでしょうか? いずれにしてもコミー氏にとっては初の公の場での発言だけに、その内容の影響は非常に大きいと思われます。

 

2.【イギリス総選挙(6/8)】
6月8日07:00~22:00時(日本時間16:00~9日07:00時、04:00時に開票がスタートし最終結果は9日午後ごろ判明)。直近では各社が頻繁に世論調査の結果を発表しており、その結果が大きく分かれており不透明な状態と言えるでしょう。メイ首相の保守党のリードが「縮小」、「逆転」などの論調で悲観的ムードにポンドを売り動きも見られています。特に調査会社のユーガブの発表は悲観的な内容が多いように感じます。

 

一方、ブルームバーグ調査では、英国の著名世論調査会社6社(ICM、イプソス・モリ、コムレス、オピニウム、サーベーション、ユーガブ)は、いずれも保守党の勝利確率が最大野党の労働党よりはるかに高いとみているとのことです。6社のうち5社は定数650の下院で保守党が過半数の40議席以上を上回ると予想。1社は最大200議席上回ると予想しており、結果で相場が大きく動くことは間違いありません。

 

3.【フランス国民議会総選挙 第1回投票 (6/11)】
6月11日08:00~20:00時(日本時間11日15:00~12日03:00時)。ちなみに、第2回投票は6月18日で、1回目で過半数か得票有権者の25%以上でなければ、投票率12.5%以上の候補が2回目の決選投票に臨みます。

 

直近の世論調査の結果をうけた変化を注意してみる必要がります。最近の報道ではマクロン政権の閣僚を巡る不正行為疑惑が相次いで浮上しておりやや気になりますが、最近のイプソス/ソプラ・ステリア世論調査によると、マクロン大統領の政党「共和国前進」の得票率が31%でトップになる見通しです。保守派の共和党と連携政党22%、極右の国民戦線(FN)は18%、急進左派の「屈しないフランス」は11.5%、左派・社会党は8.5%とのことです。

 

4.【ECB理事会とドラギECB総裁記者会見(6/8)】
ECB理事会では、リファイナンス金利0.0%、限界貸出金利0.25%、中銀預金金利-0.4%、債券買い入れを2017年12月まで、月額600億ユーロの据え置きを予想。

 

北部同盟のドイツを筆頭にしてQEの解除を求める声が日々強まっていますが、先日ドラギECB総裁は欧州議会の発言で「インフレ率をECBが目標とする2%をやや下回る水準に引き上げるためにはなお緩和的な金融政策による支援が必要」と繰り返しており、今回も金融政策の据え置きが予想されています。

 

ただし、「ユーロ圏の成長見通しに対するリスクは一段と後退」とあり、理事会ではインフレ見通しを再評価する考えを表明しています。成長見通しに対する下振れリスクは一層低下し、昨年末頃に直面していたテールリスクの一部も大きく後退していることもあり、ドラギECB総裁は記者会見でどのような変化を示すのかを注目しましょう。

 

5.【豪中銀 金融政策発表(6/6)】
豪中銀は政策金利1.5%の据え置きを予想しており、ほぼ間違いないと思われます。いつもながら変動は中銀の声明でこれにより、AUDUSDやAUDJPYの変更が強まることは、過去のデータでも実証されています。

 

前回の議事録では「来年初めまでにコアインフレ率が上昇」することに自信を示し、逆に、「高水準の家計債務と軟調な労働市場を懸念」して金利を据え置いたとあります。先の雇用統計では失業率は低下し就業者数は大幅増加しており、小売売上高も予想外に上昇しており、豪ドル安も加わっており、この辺をどう判断するのでしょうか?

 

6.【豪州 第1四半期GDP(6/7)】
豪第1四半期GDPは、前期比予想0.3%(前回1.1%)、前年比予想1.6%(前回2.4%)と前回からの低下が予想されています。先週は一部にマイナスに陥るのではとの思惑も流れて豪ドル売りの材料にされていました。AUDUSDも鉄鉱石価格の低下や中国経済の影響を危惧して最弱通貨となっており、仮に強い数字になった場合の反応が強く出る可能性があります。

 

7.【カナダ 雇用統計(6/9)】
カナダの失業率は、予想6.6%(前回6.5%)、就業者数=予想17,000人(前回3,200人)、正規雇用者=予想 前回-31200人、パートタイム雇用者=予想 前回34300人、労働参加率=予想 前回65.6%となっています。

 

先のカナダ中銀の金融政策時の声明で「緩和は適切」から「現状、緩和は適切」と将来的な緩和後退を示唆し、先週は予想外に強いカナダGDPにも、カナダドル買いは継続できず。今回の結果を受けてどこまで変動することができるのでしょうか?

 

その他、詳しくは別表をご覧ください。

 

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太田 二郎

FXストラテジスト 太田 二郎(ohta jiro)

FXのスタートはすでに35年近く前に遡る。外資系銀行でFXを学び現在に至る。米 系・英系・独系・オランダ系の外銀を経て、日本のFXリテー ル・ビジネスの草 分けとして米系支店の設立を経て、多くの個人投資家と関わりをもち、現在に至 る。現在は投資助言会社の業務部長を兼任し、頻度は 少ないながらも、セミ ナー講師をし、業界紙へFXコメントを掲載中。
信条は、「Once a dealer, always a dealer」教訓は、「FX Dealerは、全ての 面で人の手本となるべき」