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7/10
2017

今週の為替相場を考える(7月10日~14日)

最近の為替相場は中銀の金融政策の変化に反応し、ユーロ高+カナダドル高+円安の流れの継続を予想。

 

6月14日にFRBは利上げを実施、6月下旬のECB(含むBOE)の緩和縮小の観測を受け、特に独債券利回りが急騰しドルが急落の反動により、7月に入ってからのカナダドルの上昇を除き、全体的にはドルが予想外に健闘していますが、一時的な動きで再びドル売り傾向の再開が予想されます。また、CFTCのIMM通貨先物の主要7か国のネットポジションは59週間ぶりに通貨ショートから変化する(ドル高→ドル安思考)可能性が強まっていることも気になります。

 

利上げを開始しているFRBを筆頭に、世界的に金利上昇の傾向が続く中で、ECBの緩和策縮小の可能性を意識し、先週の独10年債利回りは昨年1月中旬の水準となる0.57%近くへと上昇、EURUSDも底堅く1.14台を維持、IMMのポジションでもユーロのロングは拡大傾向にあり、オプションのリスクリバーサルでもEURUSDはEURコールオーバーで市場参加者の上昇期待は強いものがあります。

 

傾向としては、カナダドルの上昇が続いています。6月中旬にボロズ・カナダ中銀総裁とウィルキンス・カナダ中銀副総裁と立て続けに刺激策の縮小の可能性をほのめかす発言から火が付き、原油価格の変動にとらわれない新たなカナダドル高の動きがスタートし、先週は昨年8月以来のカナダドル高で推移しています。

 

6月30日のGDPの伸びは弱かったのですが、ボロズ総裁からも成長の鈍化は長く続かずとのお墨付きを得、7月7日の強い雇用統計を受けカナダドルは続伸しています。今週12日のカナダ中銀は政策金利0.5%を据え置くと予想されていますが、タカ派の声明分を意識した流れが継続する可能性が高くなっています。ただし、いつものセオリーですが短期的にはひとまずの材料出尽くし感でカナダドルのロングをクローズする動きにも対応する必要がありそうです。

 

一方、一人負けの円はポジションの偏りと、G20の日米首脳会談を受けた日米2国間の貿易赤字の今後の対応(市場参加者が気にすることもあります)以外に買い材料は乏しい状態が続いています。主要国の利上げや緩和の縮小観測の影響と、日銀の超スローな緩和解消策に円は全面安の動きとなり、今後もこの流れが続きそうで、日銀から明確な緩和縮小のプロセスが発表されるまでは、円安傾向の大きな変化は期待できにくい状況となっています。

 

政治的に不安定なポンドは、3名のBOE政策委員の利上げ支持とハルデーンBOEチーフエコノミストのタカ派発言、さらにカーニーBOE総裁の『英経済が完全稼動の状態に近づくにつれ利上げを実施する必要が出てくる可能性があり、数カ月以内に利上げを討議する』とのタカ派発言を受けGBP高も、英長期金利の反応は鈍く、弱い英経済指標もあり緩和縮小は来年以降との思惑が強まっています。GBPUSDも6月末の1.3030を高値に先週も1.300の壁を超えられず1.2860台まで弱含みで推移しています。

 

さて、今週の主な材料でも記載していますが、今週の台風の目となるのは、イエレンFRB議長の議会証言(下院 7/12)&(上院 7/13)と、カナダ中銀金融政策(7/12)、ボロズ・カナダ中銀総裁、ウィルキンス・カナダ中銀副総裁の記者会見(7/12)、英雇用統計(7/12)、ハルデーンBOE・チーフエコノミスト、ブロードベントBOE副総裁講演(7/11)は非常に重要で、相場変動が高くなることが予想されます。

 

イエレンFRB議長の議会証言ですが、先週末の7月7日に半期に一度の金融政策レポートを既に提出しており、この内容に沿った発言になることが予想されます。報道からはFRBのバランスシートの縮小や追加利上げの期待は裏切られそうにありません(詳細は別途、今週の主な材料を参照)。

 

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今週の【通貨ペア別のレンジ予想】

 

◎USDJPY【予想レンジ 113.30~114.80】

 

先週末の日銀の指し値オペで、10年債利回りの上限0.10%を死守する動きに円売りが加速していますが、WSJ紙でも掲載されている通り『市場を動揺させない緩和解消策』を目指す日銀のようです。米国は資産の縮小と追加利上げ、BOE、ECB、BOCと緩和の縮小が期待できる中での比較となれば、円に分がないことがわかります。一方『株高=円安』の方程式も大きく崩れることはなく、円の定番となっている『金利差=緩やかな円安』と、『有事=激しい円高』の方程式も有効で、とりえず『緩やかな円安』の継続を意識した流れを意識したいと思います。

 

円高になるリスクとしては、クロス全体で円ショートが拡大しており、何かの材料をきっかけにショートカバーが一斉に始まるリスクです。直近の材料としてはG20後の日米首脳会談でご利上げられた日米間の貿易不均衡の問題による円安阻止の可能性ですが、要人発言だけを注意しておきましょう。

 

IMMのポジションからは、【円】-61,350→-75,036(-13,686)と、円一人負け、主要国の金融政策の違いがポジションにも表れ、ネットではショートNO.1で主要7か国通貨では唯一ショートが拡大しています。  USDJPYオプションでは、1Month VOLは先週末8.27→8.35%と上昇、RRは円コールオーバーで0.85→0.82へと低下しており、円の先高感が弱まる傾向にあります。

 

USDJPYのStochRSIのDailyは、K92.05、D94.72と買われ過ぎゾーンで売りに変化していますが、プライスは逆に上昇する動きで、強い上昇傾向を示唆した場合の動きとなっています。200日MAは111.33に、36日MAは111.39とほぼ接近し、新たな円安傾向の始まりを示唆している可能性が高まっています。

 

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◎EURUSD【予想レンジ 1.1300~1.1450→1.1600】

 

ユーロ円の政局は安定しECBの緩和縮小観測は強く、独10年債利回りの上昇はどうしても気になります。4月に入って米・独10年債利回りのスプレッドは2.15%近くありましたが、先週末では1.81%まで縮小しこの傾向が続く可能性が高く、結果的にはユーロの上昇圧力へとつながっています。

 

Dailyチャートでは、6月下旬来の高値1.1445でダブルトップになるのか、それとも1.1300をボトムにダブルボトムのなるのでしょうか? 非常に迷うところです。Weeklyチャートでは2週連続し1.14台でクローズするも、1.1445を超えられず下髭は1.11台→1.13台へと上昇し、底堅い動きで流れは上向きといえますが、1.1450を2週連続で超えられなかった反動が気になります。

 

EURUSDのStochRSIのDailyは、K61.55、D79.77で7月4日から売りを継続していますが有効とは言えず、200日MAは遥か下方の1.0830にあり、36日MAは1.1247にありこの水準を下限に上昇傾向を維持しています。

 

IMMのポジションからは、【ユーロ】58,695→77,464(18,769)と、再びユーロのロングが急拡大。引き続きドル売りをリードしロングは他を圧倒しNO.1で、主要7か国の通貨でも最もロングが大きくなっています。 EURUSDのオプションでは、1Month VOLは先週末6.75→6.80%とほぼ変わらず。RRはユーロコールオーバーで、0.35→0.30%と若干低下気味となっています。

 

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◎GBPUSD【予想レンジ 1.2700←1.2800~1.2950】

 

7月5日に第1四半期の労働生産性は前期比-0.5%に低下し、2015年後半以来の落ち込みとなったのに続き、7日には予想外のマイナスとなったハリファックス住宅価格、弱い鉱工業生産・製造業生産、貿易赤字の拡大と、BOEの緩和縮小期待をはねつけるような弱い経済指標に、ユーロ高に反しポンドの弱さが目立っています。

 

Dailyチャートでは1.1300台を回復することができず、先週末に急落し先週1週間の安値を更新したことが気になります。Weeklyチャートではハラミがみられ1.13をバックにして戻り売り圧力が強まる可能性が気になります。

 

GBPUSDのStochRSIのDailyは、K68.59 D79.91と4日から売りへと変化しています。200日MAは1.2551と遥か下に位置しますが、36日MAは1.2855にあり、この水準を試す動きも考えられ割り込むと36日MA(安値ベース)の1.2805がポイントとなり、これを割り込むと続落の可能性が高まります。

 

IMMのポジションからは、【ポンド】-39,133→-27,767(11,366)と、ユーロがロングへと変化しても、なかなかロングへ転換できずにいます。ただ、ネットポジションは再び減少傾向にあり弱さはそれほど感じられません。 GBPUSDのオプションでは、1Month VOLは先週末7.65→7.45へ低下、RRはポンドプットオーバーで、0.15→0.3へ拡大し市場の弱気はセンチメントを表しています。

 

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今週の主な材料(7月10日~14日)

 

主要国の金融政策の違いが為替相場の変動要因。最近は量的緩和の縮小や利上げできる国の通貨は上昇、逆にできない円は弱いという、比較的わかりやすい流れが続いています。今週は、イエレンFRB議長の議会証言、カナダ中銀の金融政策と、FRB関係者はもちろんのこと、カナダ中銀、BOE関係者の発言が重要です。

 

イエレンFRB議長の議会証言に関しては、7日にFRBは議会に対して半期に一度の金融政策レポートを既に提出しており、この内容に沿った発言になることが予想されます。以下はローター等の報道から抜粋したのもですが、FRBのバランスシートの縮小や追加利上げの期待は裏切られそうにありません。

 

『米経済は着実に拡大を続け、雇用情勢は引き続き改善。投資や消費者信頼感は健全な状況にあり、金融市場に目立ったリスクの兆候はみられない。ただし、長期債の利回り急上昇やMMFによる国債・政府機関債への売りなど、債券市場を巡るリスクには言及しています』

 

『株価が最高値圏で推移し、金利や信用状況がなお緩和的な状態にあるものの、社債を含む債券市場には流動性の逼迫を示す兆しは存在せず、資産価値の上昇が問題を引き起こす兆候も確認されず』

 

『米金融システムの脆弱性は総じて控えめな水準にとどまる。多岐にわたる資産のバリュエーションに対する圧力や投資家のリスク選好度を示す複数の指標は一段と高まったものの、資産市場の動向はレバレッジの高まりを伴っていない』

 

『第1四半期のGDP伸び率とインフレ率は鈍化したが、消費者信頼感は引き続き堅調。企業の投資は持ち直し、住宅市場も緩やかな改善。最近の国外での堅調な動向が米経済成長への追い風となっている』

 

『生産性の低調な伸びが「ニューノーマル(新標準)」となる可能性を長期的な問題と指摘。賃金が依然低調な伸びにとどまっている一因となっている可能性がある』

 

次は、ボロズ、ウィルキンス両氏のタカ派発言から急伸しているカナダドルは、先週末の強い雇用統計でさらに勢い図いています。今週のカナダ中銀の金融政策は政策金利0.5%の据え置きが予想されていますが、声明文はどうなのでしょうか? また、ボロズ、ウィルキンス両氏の発言も予定されており、目が離せません。

 

そして、カーニーBOE総裁のタカ派発言からやや曇りがちな弱い英経済指標が続いていますが、今週の英雇用統計はILO失業率の予想は4.6%で変わらず、平均賃金の伸びが問題になりそうです。その前日にハルデーンBOE・チーフエコノミスト、ブロードベントBOE副総裁講演もありそちらがキーになる可能性もあります。

 

重要なイベント
1.【イエレンFRB議長の議会証言(下院7/12)&(上院7/13)
2.【カナダ中銀金融政策(7/12)】
3.【ボロズ・カナダ中銀総裁、ウィルキンス・カナダ中銀副総裁の記者会見(7/12)】
4.【英雇用統計(7/12)】
5.【ハルデーンBOE・チーフエコノミスト、ブロードベントBOE副総裁講演(7/11)】

 

米経済指標
1.【米CPI&小売売上高&鉱工業生産&企業在庫&ミシガン大消費者信頼感(7/14)】
2.【米PPI&新規失業保険申請件数(7/13)】
3.【米ベージュブック(7/12)】

 

FRB関係者発言
1. 【ウイリアムズSF連銀総裁(7/10)】
2. 【ウイリアムズSF連銀総裁、ブレイナードFRB理事講演、カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁講演(7/11)】
3. 【ジョージ・カンザスシティー連銀総裁講演(7/12)】
4. 【エバンズ・シカゴ連銀総裁、ブレイナードFRB理事講演(7/13)】
5. 【カプラン・ダラス連銀総裁講演(7/14)】

 

その他
1.【中国CPI&PPI(7/10)】
2.【中国貿易収支(7/13)】

 

詳しくは別表をご覧ください。

 

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ブロガープロフィール

太田 二郎

FXストラテジスト 太田 二郎(ohta jiro)

FXのスタートはすでに35年近く前に遡る。外資系銀行でFXを学び現在に至る。米 系・英系・独系・オランダ系の外銀を経て、日本のFXリテー ル・ビジネスの草 分けとして米系支店の設立を経て、多くの個人投資家と関わりをもち、現在に至 る。現在は投資助言会社の業務部長を兼任し、頻度は 少ないながらも、セミ ナー講師をし、業界紙へFXコメントを掲載中。
信条は、「Once a dealer, always a dealer」教訓は、「FX Dealerは、全ての 面で人の手本となるべき」