ホーム > コラムの泉 > 現役チーフアナリスト武市の勝率UPに導くテクニカル手法

迷ったらココ!期間限定

7/14
2017

「先頭はドル、最後方は円」が変わらない限り、大きな流れも変わらない…!?

 6月FOMCを機に(実際には少し前)に108円後半で底を打ったドル円は、その後は目立った押し目を形成することなく、114円半ばまで上値を拡大しました(①)。その後はイエレンFRB議長の議会証言を機に反落(②)していますが、113円割れ(③)ではしっかりと買い拾われている印象があります。

 

20170714take1

 

 “わずか1ヶ月”ほどで“5.50円超”の急騰、しかも“ほぼ一本調子”だったことを考えると、高値からの反落そのものに違和感はありません。ただしこれが「ポジション調整なのか…?」、それとも「頭(天井)を打ったのか…?」というのは、大きな問題として残ります。今回の件でいえば、イエレンFRB議長の議会証言が「これまでよりハト派に寄ったからなのか?」、それとも「思ったほどタカ派でなかったからなのか…?」と言い換えられるかもしれません。

 

 今回の議会証言では、「バランスシート縮小の年内開始」は示唆され、「インフレ鈍化は一時的要因」との見方も変わることはありませんでした。一方で「年内あと1回の利上げ」が示唆されることはなく、「インフレは目標を下回っている、最近はさらに低下傾向」ともされました。“どちらとも取れる”内容ではありますが、マーケットはこれを“追加利上げに慎重(ハト派)”と捉え、ドル売り優勢になった格好といえます。

 

 ただ現在のマーケットテーマは、“米金融政策の行方”というより“金融正常化争い”が優勢となっている印象があります。そしてその観点から改めて見ると、“金融政策の正常化争いの先頭を走るのは米国(ドル)” “最後方を進むのは日本(円)”は疑いようがないところです。“2番手争いが混沌(欧・英・加で激しい2番手争いが勃発)”としていることで通貨ペアごとのバラツキ(揺れ動き)は見られていますが、今回の議会証言の見方(米国の方向性)が“ハト派orタカ派”のいずれに寄ったとしても、ドル円に対する影響は“一時的”“中長期的な見方は変わらない”と考えることが可能ということになります。

 

20170714take2

 

 急騰していたユーロ円が130円後半で失速した(④)かと思えば、代わってカナダドル円が重要な上値メドとされた“16/12/15高値(88.903円 ⑤)”を突破する等、“金融正常化争い⇒最後方を進むのは日本(円)⇒円売り⇒クロス円全般に波及”という流れは続いています。前回にも記しましたが、金融政策の立ち位置の違いを背景に「機関投資家(ヘッジファンド)が“円キャリートレード”で勝負をかけている」との話もあります。こうした流れを崩すには“日本(円)が最後方から脱出”であるとか、あるいは“全ての材料をなぎ倒す破壊力を秘めたリスク回避姿勢の台頭”くらいしか、筆者には思いつきません。

 

20170714take3

 

 話を戻します。本来であれば“揺れ動く2番手争い”に沿った取引が“一番効率が良い”といえますが、2番手争いが拮抗する中で、それら全てを取るのは難しいと考えるのが自然です。もちろん決め打ちはできませんが、また相応の調整が入る可能性も気にしておく必要がありますが、ドル円には“方向感が真逆”という安心感がそれなりに存在します。そしてクロス円全体をけん引する“基準”としての意味合いも、ドル円は持っています。

 

 冷や水を浴びせられた格好ですので、場合によっては“6/14~7/11の38.2%押し(112.314円 ⑥)”“同50%押し(111.641円 ⑦)”辺りまで覚悟しておくべきかもしれません。それでも「押し目待ちに、押し目なし」がマーケットの常です。「頭(天井)を打った」と見なさない限り、そして「“ハト派に寄った⇒ドル売り”」との見方が台頭している限り、逆に“下値は意外と浅い”と考えてマーケットに臨みたいところです。

 

(2017年7月14日執筆)

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • シェアする
  • 【この記事のURL】
6/30
2017

“相反する圧力”が圧し掛かるものの、「現行トレンドはしばらく継続」…!?

 「労働市場の改善に伴い、賃金と共にインフレは加速する」
  「現時点で引き締め策を停止すれば、インフレ高進のリスク増大」

 

 FOMCが示す「年内の追加利上げ+バランスシート縮小」に対する“懐疑的な見方”が少なからず存在していた中で飛び出した上記ダドリーNY連銀総裁発言は、ドル買い戻しを促しました。“200日移動平均線(当時110.70円水準)”を突破(①)し、111円後半へ上昇した様を見ていると「このまま上値を窺うか…?」とも思われました。しかしながら“日足・一目均衡表先行スパンの雲下限&100日移動平均線(当時111.80円水準)”の壁は厚く、一旦は押し留められました(②)。

 

20170630take1

 

 “上値の重さ”は如何ともしがたく、その後はじりじりと上値を削らざるを得ない状況へと追い込まれましたが、ただここに来て一気に同水準を突破する動きが見られています(③)。キッカケとなったのは“ユーロ急騰”であり、後を押したのが“ポンド急騰”でした。

 

20170630take2

 

 「足元のインフレを抑制する要因は一時的なもの」
 「デフレ圧力はリフレに変わった」

 

 ドラギECB総裁のこの発言は、ユーロ圏の“テーパリング(量的緩和策縮小)”開始への思惑を再燃させるには十分でした。独10年国債利回りが急上昇を見せる中、ユーロ円は128円後半へ(④)、ユーロドルは1.14ドル半ばへ(⑤)と駆け上がりました。

 

20170630take3

 

 「英景気刺激策の一部は、解除が必要となる可能性」

 

 翌28日には上記カーニーBOE総裁発言を背景に、ポンドの買い戻しが促されました。突然のタカ派発言はポンド円を146円半ばへ(⑥)、ポンドドルは1.30ドル前半へ(⑦)の急騰を演じています。

 

 どちらも“対円”のみならず、“対ドル”でも上昇している動きを考えると、ドル円には“相反する圧力がかかっている”と考えるのが自然です。しかし“金融政策の正常化争いの最後方を進むのは円(日銀)”との思惑は立ちやすく、実際に“ドル買い・円売り圧力がかかりやすく”なっているのが実状です。この金融政策の立ち位置の違いを背景に、「機関投資家(ヘッジファンド)は“円キャリートレード”で勝負をかけている」との一部報道もあります。

 

20170630take4

 

 すでに“4円超”のドル高・円安が進んでおり(⑧)、“上昇スピード”も相応のものがあります。このため“高値警戒感”が台頭しやすく、執筆時点では上値を再び押さえられる動きも目立っていますが、前記報道が事実であるとすれば“三役好転”に転じたばかり(⑨)の現トレンドはそう簡単に壊れるとも思いづらいところです。

 

 調整の目安となる“6/14~6/29の38.2%押し(111.348円 ⑩)”の手前には、“日足・一目均衡表先行スパン上限&100日移動平均線(現在は111.811-777円 ⑪)”“50日移動平均線(同111.529円 ⑫)”といった主だった抵抗ラインも控えています。「警戒をしながら」にはなりますが、「同ラインを割り込まない限り、現行トレンドはしばらく継続」と考えてマーケットに臨みたいところです。

 

(2017年6月30日執筆)

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • シェアする
  • 【この記事のURL】
6/9
2017

相反する動きを見せるドル円とポンド円 - 共に分水嶺に接近中…!?

 注目の“トリプル・リスクイベント(ECB/議会証言/英下院選)”は、「期待ほど金融政策正常化に向けて進展しなかった(ECB)」「トランプ大統領の捜査妨害疑惑は後退した(議会証言)」となる中、「与党・保守党が過半数割れ(英下院選)」という結果となりました。しかし英下院選の結果を受けたリスク回避姿勢はマーケット全体に波及することはなく、ドル円にとっては“不発”となる中で、ポンド円は9日早朝に“急落”を演じました。

 

 “底堅い動き”を見せたドル円と、“急落を演じた”ポンド円。相反する動きに見えて、実は共通項があります。「200日移動平均線を窺っている」という点です。

 

20170609take1

 

20170609take2

 

 200日移動平均線とは、“長期トレンド”を占う上で重要視されるテクニカルです。位置関係で長期トレンドを占いますので“上で推移するポンド円(①)は買い”“下で推移するドル円(②)は下”ということになります。しかし“100日移動平均線(本日は141.390円 ③)”“日足・一目均衡表先行スパン下限(同141.016円 ④)”を割り込んで“200日移動平均線(同138.869円 ⑤)”に近づいてきたポンド円に対して、ドル円は“6日段階ですでに割り込み ⑥”“底堅い動き ⑦”を見せた後、再び“200日移動平均線(現在は110.410円)”に近づいてきています(⑧)。押し目なしに下落してきたポンド円には“下値メドとしての達成感”が働きやすいのに対して、すでに割り込んでしまったドル円には“戻りが加速する急所(メド)”と捉えられる可能性が増しています。

 

20170609take3jpg

 

20170609take4

 

 まだ突破したわけではありませんので、現状の長期トレンドは“ポンド円は買い”“ドル円は売り”のままということになりますが、フィボナッチ・リトレースメントを見る限り、ポンド円・ドル円のどちらも200日移動平均線は“マイナー水準(76.4%(⑨) or 23.6%(⑩))”とほぼ合致しています。メジャー水準に比べて“抵抗力は弱い”と考えられる中、ファンダメンタルズ的には冒頭で記したように“逆(ポンド円は売り・ドル円は買い)になりやすい”…?

 

 どちらも抜けていないだけに“過度の期待は禁物”であり、 “達成感/急所”の違いから“ドル円が先行、ポンド円はやや分が悪い”との印象もありますが、“100%押し(135.604円 ⑪)”/“50%戻し(111.741円 ⑫)”への期待は膨らむところです。

 

(2017年6月9日執筆)

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • シェアする
  • 【この記事のURL】
5/12
2017

現在は“心理的な節目”の意味合いのみ 、115円突破で“全戻しの期待”…!?

 「あの警戒感(円高・ドル安)は何だったのか…?」 そんな声が聞こえてきそうな動きを、ドル円は見せています。“政局リスク(仏大統領選)”“地政学的リスク(北朝鮮&シリア)”を早々に織り込んだマーケットは、買い戻しを加速させているからです。

 

20170512take1

 

 “50日移動平均線(当時111.70円 ①)”“日足・一目均衡表先行スパンの雲(112.30-86円 ②)”“100日移動平均線(同113.30円 ③)”、さらには“16/12/15~17/4/17の50%戻し(113.395円 ④)”を相次いで突破したドル円は、114円台に到達しました(9日 ⑤)。その後は上値を押さえられていますが、“115円回復(突破)への期待”がさらに膨らもうかといった状況といえます。

 

20170512take2

 

 一方で、115円台は“因縁の水準”でもあります(⑥)。「知ったら終い(しまい)」で押し戻された3月FOMC時の動き(⑦)は記憶に新しく、また“心理的な節目”であることから“オプション絡みの防戦売りの噂”が付いて回ります。上値が重くなりやすく、突破するのは容易ではありません。

 

 ただし今回に関しては、後者に関する噂がほとんど聞こえてきておりません。「聞こえてこないだけ」といった可能性は残りますが、年度末だった前回とは状況が異なっているのも、また事実です。つまり「3月規模まで膨らんでいない可能性」があり、そうだと仮定すれば「次回FOMC(来月13-14日、なお13日には一目均衡表の雲にネジレ発生 ⑧)までの日柄」「政治的なイベント一服というスケジュール感」等を鑑みると“つけ入る隙は十分”ということになります。

 

20170512take3

 

 改めてチャートを見ると、“200日移動平均線”を上放れた(⑨)ことで“ボトムアウト”した後は、冒頭で記したように順調に抵抗ラインをこなし続けてきました。114.30円水準で現在は上値を押さえられていますが(⑩)、しかしテクニカル的には“同61.8%戻し(114.637円 ⑪)”まで主だった抵抗ラインが見当たりません。つまり“中途半端な水準”で押さえられている格好であり、それでいて越えたところに “115円の大台ライン”が迫っています。

 

20170512take4

 

 “心理的な節目”の意味合いが強いとするならば、もたつかずに突破する可能性は十分…。本日予定される米小売売上高/米消費者物価指数は“共にプラス転換”が見込まれるなど、ファンダメンタルズ的な期待も膨らむところです。まずは“115円の大台ライン(⑫)”がメドとなりますが、“3/10高値(115.491円 ⑬)”を経て、年初来高値とも合致する“全戻し(昨年12/15高値:118.658円 ⑭)”まで期待は募るところです。

 

(2017年5月12日執筆)

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • シェアする
  • 【この記事のURL】
4/28
2017

108円台でボトムアウト – いよいよドル円は上値追い再開…!?

 急速に高まった警戒感から、ドル円は想定していた以上に売り込まれました。

 

20170428take1 

 “政局リスク(仏大統領選)”“地政学的リスク(北朝鮮&シリア)”を囃す動きで“200日移動平均線”を割り込むと、“ストップロス”を絡めながら一時108.132円まで売り込まれていきました(①)。

 

 一方で“トランプラリー(16/11/9~16/12/15)の61.8%押し(107.863円 ②)”を割り込むことはなく、その後は反発に転じています。仏大統領選・第1回投票が下馬評通り「マクロン候補(中道) VS ルペン候補(極右)」に落ち着いたこともありますが、それ以上に大きかったのが“両氏の得票率は世論調査に似通っていた”ことでした。昨年に何度も煮え湯を飲まされた世論調査の“信ぴょう性”が改善した格好であり、その後は積み上がったリスク回避の円買いポジションを“巻き戻す”動きにつながりました。“地政学的リスク(北朝鮮軍創建85周年記念日)”の後退も後押しもあり、ドル円は111.77円まで一時値を戻しています(③)。

 

20170428take2 

 週足に目を転じると、前回記した“200週移動平均線”を割り込んで“先行スパンの雲の中にて下値を拡大”していた様子が窺えるところです(④)。一方で“50週移動平均線”の手前では下げ止まって(⑤)おり、前記巻き戻しを誘いました。まだ雲から脱却したわけではありませんので楽観はできないものの、決して悲観する形状というわけではなさそうです。 

 

 もちろんこうした動きを持ってしても、“底打ち”と囃すのはいささか早計かもしれません。「選挙は水物」といいますので、“政局リスク(仏大統領選・決選投票:5/7)”は依然として残っています。また後退したとはいえ、“地政学的リスク(北朝鮮動向)”は完全に払拭される類のリスクではありません。常に燻り続けるものであるだけに、囃される度に上値に重くのしかかってくる展開も想定せずにはおれないからです。

 

 それでも無難に通過した仏大統領選・第1回投票辺りから「本邦生保筋がヘッジをかなり外している(ドル買い)」との噂が聞こえてきており、見方は割れているものの「円買いポジションはまだ残っている(巻き戻される可能性あり)」と考えることも可能です。

 

20170428take3 

 再び日足に目を転じると、“200日移動平均線を跨ぐ往来相場(⑥)”を繰り返した後、“上方向に放れた(⑦)”格好であることが窺えます。これは「下攻め(ドル売り)に飽き」がきていた可能性を示す動きであり、 “50日移動平均線(⑧)”を突破すると“100日移動平均線”とほぼ重なる“16/12/15~17/4/17の50%戻し(113.395円 ⑨)”“同61.8%戻し(114.637円 ⑩)”を経て、“115円ライン回復 ⑪”が期待できる形状ともいえます。

 

 「108円台でボトムアウト」した感のあるドル円には、より注目が集まってきそうです。

 

(2017年4月28日執筆)

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • シェアする
  • 【この記事のURL】

ブロガープロフィール

武市 佳史

ファイナンシャル・プランナー 武市 佳史(takechi yoshifumi)

大阪府出身。ファイナンシャル・プランナー(AFP)、テクニカルアナリスト。
日本におけるFX(外国為替証拠金取引)の草創期より業務に従事。数多くの一般投資家と接しながら、現在はFX大手「マネーパートナーズ」のチーフアナリストとして、為替コラム執筆やWebセミナー講師を務めるのみならず、日経CNBCを始めとする数々のメディアに出演・寄稿している。「初心者には分かり易く、上級者も納得」がモットー。