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迷ったらココ!期間限定

9/8
2017

ようやく“ダブルトップ完成” - 次なるポイントは“週足の雲割れ確定” の有無…!?

 ちょっと更新をお休みさせていただいている間に、ドル円は大きく下落しています。「米利上げ観測の後退(ドル売り)」「欧緩和縮小観測の台頭(ユーロ買い)」、さらには「悪化する北朝鮮情勢(リスク回避の円買い)」も重なる中、とうとう昨日には108円ラインぎりぎりへと売り込まれました。

 

20170908take1

 

 昨日の下落におけるポイントは2つ。“4月安値(108.132円)”を割り込んだことによる「年初来安値を更新(①)」と、そして“ネックライン(6月安値:108.788円 ②)”を割り込んだことによる「5月高値-7月高値を頂点とするダブルトップの完成(③)」です。

 

 「ん…!!前者はともかくとして、後者に関してはとっくの昔に割り込んでいるんじゃないの…?」そう疑問に思われる方もおられるでしょうが、ダブルトップの完成が昨日であることは間違いではありません。

 

20170908take2

 

 ご指摘のように何度となく、8月以降は同ラインを割り込む場面が見られています(④)。しかしながらその都度持ち直しを見せており、一度として終値ベースでは割り込まずにここまできました。それが昨日初めて終値ベースで割れた(⑤)ことで、テクニカル上は「ようやくダブルトップ完成」ということになります。よく知られたテクニカルではありますが、“判断の基準は終値”というのは忘れがちですので、気を付けておきたいところです。

 

 そう考えると年初来安値更新は“下値追い加速 or 下値達成感台頭”のいずれにも取れる材料ですが、ダブルトップ完成に関しては“下値追い加速”が促される要因と考えるのが自然ということになります。何度も跳ね返された同じ108円台ではありますが、これまでとは様相が違うと考える必要があります。

 

 もっとも今回の下落の裏には、はっきりいって「悪化する北朝鮮情勢(リスク回避の円買い)」が占めるウェイトが大きいと見られます。このため“思惑の往き過ぎ”が入り込みやすく、仮に懸念される週末のミサイル発射が杞憂に終われば“それ相応の反発は必至”と考えるのもまた自然ということになります。このためその後に「再び下攻め」となるのか、それとも「目先の底打ち⇒反発」となるのかを、探っておく必要があります。注目されるのは“週足チャート”です。

 

20170908take3

 

 ダブルトップを完成させた前記“ネックライン(108.788円)”には、“週足・一目均衡表先行スパンの雲下限”も重なって展開しています(⑥)。しかし “判断の基準は終値”である以上、「割り込んでいるとはいえ、まだ確定しているわけではありません(⑦)」。つまり“中長期の方向性”を探る上で注目される週足では「まだ下落シグナルは点灯していない」ということになり、明朝の終値(週足の場合、週末終値がベース)が注目ということになります。下回っていれば「早期に押し戻されない」限り、“16/6/24~16/12/15の61.8%押し(106.446円 ⑧)”“16/11/11安値(106.032円 ⑨)”を経て、“16/11/10安値(104.963円 ⑩)”を目指す「さらなる下攻め」が懸念される。一方で押し戻されていれば、少なくとも“110円台”に向けた「目先の底打ち⇒反発」が期待されると考えるのが可能ということにもなります。

 

 「イメージは下方向一辺倒」「テクニカルも悪化」という局面ではありますが、「中長期の売りシグナルの点灯はまだ」「思惑の往き過ぎが入り込みやすい」という点に関しては、十分に注意して臨みたいところです。

 

(2017年9月8日執筆)

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7/28
2017

頻発する“十字線”が、ドル円の先行きを暗示…!?

 ECB(欧州中央銀行)理事会(20日)は“ハト派/タカ派が混在”したものの、マーケットは“タカ派部分”のみに反応しました。一方のFOMC(米連邦公開市場員会・25-26日)も“ハト派/タカ派が混在”でしたが、こちらは“ハト派部分”のみに反応した印象があります。ユーロドルが2015年1月以来となる1.17ドル後半へと駆け上がる中(①)、ドル円は前回記した“6/14~7/11の50%押し(111.641円 ②)”では下げ止まらず、“同61.8%押し(110.967円 ③)”をも一時割り込む下落を見せています(④)。

 

20170728take01

 

20170728take2

 

 “米インフレ鈍化⇒金利先高観後退”に“米欧金利差縮小”、さらには“トランプ政権の迷走”等…。ドルにとっては明らかに“逆風”が吹いており、重く圧し掛かっています。ユーロドルが1.17ドルを明確に上回ってきたことを考えると、「しばらくドル売りは続く」と見るのが自然かもしれません。

 

 ただ「各国中銀による金融正常化争い」は依然としてマーケットテーマとして健在であり、「金融政策の正常化争いの先頭はドル⇒最後方は円」という構図も崩れておりません。このため「ドル売り⇔円売り」が互いに引っ張り合い、明確な方向性を見出せない状況へと陥ってきたことが窺えるところです。

 

20170728take3

 

 週足を見ると「方向感のないレンジ相場」に入り込んでいる印象があります(⑤)。それでいてイメージは“下方向へ傾斜”している印象があり(⑥)、前記したように“ドル売り材料”も揃っている状況では、なおさらその傾斜はきつくなりがちです。

 

20170728take4

 

 一方で日足を見ると、“一目均衡表先行スパンの雲(現在は111.367-110.249円)”に再び押し戻されたものの(⑦)、“ドル売り材料”が揃っている割には大きく崩れておりません。雲の上限付近にて、“概ね横ばい”を続けています(⑧)。“大陽線(25日)-大陰線(26日)”を描くなど“派手な動き”をしているようにも見えますが、この両日を“一本のローソク足”に見立てると、雲に押し戻されて以降は「十字線(寄引同時線)を頻発」させていることが窺えます(⑨)。

 

 ※十字線(寄引同時線):売り方/買い方共に思い切って動くことができず、様子見(打診売り/打診買い)となりやすい線。相場の流れが変わる時にも現れやすく、拮抗する売り方/買い方のいずれかが勝れば、雪崩を打つように動く可能性もある攻防の分岐点。

 

 膠着状況を打破するには、新たな材料(要因)が必要です。しかしながら現在はその材料が見当たらず、決め手を欠いているのが実状です。想定される“夏枯れ(ボラティリティの低下)”は“仕掛け的な動き”を呼び込む可能性を秘めていますが、一方で“積極的な売買が手控えられる”とは“両刃の剣”です。ドル売り材料が揃っている現状を考えると、 「下方ブレイクには、さらに強力なドル売り(もしくは円買い)材料が必要」と考えざるを得ないところです。

 

 もちろんイメージは“下方向へ傾斜”ですので、決して楽観はできません。それでも “レンジ下限”付近で推移し、前記したように“十字線を頻発”させています。大きく動意づく可能性を秘めた“雲のネジレ”も、まだ先(8月4-7日 ⑩)になります。イメージ(流れ)には逆らう格好になりますが、「下値は浅い」「戻り売りではなく、押し目買い」で臨みたい局面と考えます。

 

(2017年7月28日執筆)

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7/14
2017

「先頭はドル、最後方は円」が変わらない限り、大きな流れも変わらない…!?

 6月FOMCを機に(実際には少し前)に108円後半で底を打ったドル円は、その後は目立った押し目を形成することなく、114円半ばまで上値を拡大しました(①)。その後はイエレンFRB議長の議会証言を機に反落(②)していますが、113円割れ(③)ではしっかりと買い拾われている印象があります。

 

20170714take1

 

 “わずか1ヶ月”ほどで“5.50円超”の急騰、しかも“ほぼ一本調子”だったことを考えると、高値からの反落そのものに違和感はありません。ただしこれが「ポジション調整なのか…?」、それとも「頭(天井)を打ったのか…?」というのは、大きな問題として残ります。今回の件でいえば、イエレンFRB議長の議会証言が「これまでよりハト派に寄ったからなのか?」、それとも「思ったほどタカ派でなかったからなのか…?」と言い換えられるかもしれません。

 

 今回の議会証言では、「バランスシート縮小の年内開始」は示唆され、「インフレ鈍化は一時的要因」との見方も変わることはありませんでした。一方で「年内あと1回の利上げ」が示唆されることはなく、「インフレは目標を下回っている、最近はさらに低下傾向」ともされました。“どちらとも取れる”内容ではありますが、マーケットはこれを“追加利上げに慎重(ハト派)”と捉え、ドル売り優勢になった格好といえます。

 

 ただ現在のマーケットテーマは、“米金融政策の行方”というより“金融正常化争い”が優勢となっている印象があります。そしてその観点から改めて見ると、“金融政策の正常化争いの先頭を走るのは米国(ドル)” “最後方を進むのは日本(円)”は疑いようがないところです。“2番手争いが混沌(欧・英・加で激しい2番手争いが勃発)”としていることで通貨ペアごとのバラツキ(揺れ動き)は見られていますが、今回の議会証言の見方(米国の方向性)が“ハト派orタカ派”のいずれに寄ったとしても、ドル円に対する影響は“一時的”“中長期的な見方は変わらない”と考えることが可能ということになります。

 

20170714take2

 

 急騰していたユーロ円が130円後半で失速した(④)かと思えば、代わってカナダドル円が重要な上値メドとされた“16/12/15高値(88.903円 ⑤)”を突破する等、“金融正常化争い⇒最後方を進むのは日本(円)⇒円売り⇒クロス円全般に波及”という流れは続いています。前回にも記しましたが、金融政策の立ち位置の違いを背景に「機関投資家(ヘッジファンド)が“円キャリートレード”で勝負をかけている」との話もあります。こうした流れを崩すには“日本(円)が最後方から脱出”であるとか、あるいは“全ての材料をなぎ倒す破壊力を秘めたリスク回避姿勢の台頭”くらいしか、筆者には思いつきません。

 

20170714take3

 

 話を戻します。本来であれば“揺れ動く2番手争い”に沿った取引が“一番効率が良い”といえますが、2番手争いが拮抗する中で、それら全てを取るのは難しいと考えるのが自然です。もちろん決め打ちはできませんが、また相応の調整が入る可能性も気にしておく必要がありますが、ドル円には“方向感が真逆”という安心感がそれなりに存在します。そしてクロス円全体をけん引する“基準”としての意味合いも、ドル円は持っています。

 

 冷や水を浴びせられた格好ですので、場合によっては“6/14~7/11の38.2%押し(112.314円 ⑥)”“同50%押し(111.641円 ⑦)”辺りまで覚悟しておくべきかもしれません。それでも「押し目待ちに、押し目なし」がマーケットの常です。「頭(天井)を打った」と見なさない限り、そして「“ハト派に寄った⇒ドル売り”」との見方が台頭している限り、逆に“下値は意外と浅い”と考えてマーケットに臨みたいところです。

 

(2017年7月14日執筆)

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6/30
2017

“相反する圧力”が圧し掛かるものの、「現行トレンドはしばらく継続」…!?

 「労働市場の改善に伴い、賃金と共にインフレは加速する」
  「現時点で引き締め策を停止すれば、インフレ高進のリスク増大」

 

 FOMCが示す「年内の追加利上げ+バランスシート縮小」に対する“懐疑的な見方”が少なからず存在していた中で飛び出した上記ダドリーNY連銀総裁発言は、ドル買い戻しを促しました。“200日移動平均線(当時110.70円水準)”を突破(①)し、111円後半へ上昇した様を見ていると「このまま上値を窺うか…?」とも思われました。しかしながら“日足・一目均衡表先行スパンの雲下限&100日移動平均線(当時111.80円水準)”の壁は厚く、一旦は押し留められました(②)。

 

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 “上値の重さ”は如何ともしがたく、その後はじりじりと上値を削らざるを得ない状況へと追い込まれましたが、ただここに来て一気に同水準を突破する動きが見られています(③)。キッカケとなったのは“ユーロ急騰”であり、後を押したのが“ポンド急騰”でした。

 

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 「足元のインフレを抑制する要因は一時的なもの」
 「デフレ圧力はリフレに変わった」

 

 ドラギECB総裁のこの発言は、ユーロ圏の“テーパリング(量的緩和策縮小)”開始への思惑を再燃させるには十分でした。独10年国債利回りが急上昇を見せる中、ユーロ円は128円後半へ(④)、ユーロドルは1.14ドル半ばへ(⑤)と駆け上がりました。

 

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 「英景気刺激策の一部は、解除が必要となる可能性」

 

 翌28日には上記カーニーBOE総裁発言を背景に、ポンドの買い戻しが促されました。突然のタカ派発言はポンド円を146円半ばへ(⑥)、ポンドドルは1.30ドル前半へ(⑦)の急騰を演じています。

 

 どちらも“対円”のみならず、“対ドル”でも上昇している動きを考えると、ドル円には“相反する圧力がかかっている”と考えるのが自然です。しかし“金融政策の正常化争いの最後方を進むのは円(日銀)”との思惑は立ちやすく、実際に“ドル買い・円売り圧力がかかりやすく”なっているのが実状です。この金融政策の立ち位置の違いを背景に、「機関投資家(ヘッジファンド)は“円キャリートレード”で勝負をかけている」との一部報道もあります。

 

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 すでに“4円超”のドル高・円安が進んでおり(⑧)、“上昇スピード”も相応のものがあります。このため“高値警戒感”が台頭しやすく、執筆時点では上値を再び押さえられる動きも目立っていますが、前記報道が事実であるとすれば“三役好転”に転じたばかり(⑨)の現トレンドはそう簡単に壊れるとも思いづらいところです。

 

 調整の目安となる“6/14~6/29の38.2%押し(111.348円 ⑩)”の手前には、“日足・一目均衡表先行スパン上限&100日移動平均線(現在は111.811-777円 ⑪)”“50日移動平均線(同111.529円 ⑫)”といった主だった抵抗ラインも控えています。「警戒をしながら」にはなりますが、「同ラインを割り込まない限り、現行トレンドはしばらく継続」と考えてマーケットに臨みたいところです。

 

(2017年6月30日執筆)

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6/9
2017

相反する動きを見せるドル円とポンド円 - 共に分水嶺に接近中…!?

 注目の“トリプル・リスクイベント(ECB/議会証言/英下院選)”は、「期待ほど金融政策正常化に向けて進展しなかった(ECB)」「トランプ大統領の捜査妨害疑惑は後退した(議会証言)」となる中、「与党・保守党が過半数割れ(英下院選)」という結果となりました。しかし英下院選の結果を受けたリスク回避姿勢はマーケット全体に波及することはなく、ドル円にとっては“不発”となる中で、ポンド円は9日早朝に“急落”を演じました。

 

 “底堅い動き”を見せたドル円と、“急落を演じた”ポンド円。相反する動きに見えて、実は共通項があります。「200日移動平均線を窺っている」という点です。

 

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20170609take2

 

 200日移動平均線とは、“長期トレンド”を占う上で重要視されるテクニカルです。位置関係で長期トレンドを占いますので“上で推移するポンド円(①)は買い”“下で推移するドル円(②)は下”ということになります。しかし“100日移動平均線(本日は141.390円 ③)”“日足・一目均衡表先行スパン下限(同141.016円 ④)”を割り込んで“200日移動平均線(同138.869円 ⑤)”に近づいてきたポンド円に対して、ドル円は“6日段階ですでに割り込み ⑥”“底堅い動き ⑦”を見せた後、再び“200日移動平均線(現在は110.410円)”に近づいてきています(⑧)。押し目なしに下落してきたポンド円には“下値メドとしての達成感”が働きやすいのに対して、すでに割り込んでしまったドル円には“戻りが加速する急所(メド)”と捉えられる可能性が増しています。

 

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 まだ突破したわけではありませんので、現状の長期トレンドは“ポンド円は買い”“ドル円は売り”のままということになりますが、フィボナッチ・リトレースメントを見る限り、ポンド円・ドル円のどちらも200日移動平均線は“マイナー水準(76.4%(⑨) or 23.6%(⑩))”とほぼ合致しています。メジャー水準に比べて“抵抗力は弱い”と考えられる中、ファンダメンタルズ的には冒頭で記したように“逆(ポンド円は売り・ドル円は買い)になりやすい”…?

 

 どちらも抜けていないだけに“過度の期待は禁物”であり、 “達成感/急所”の違いから“ドル円が先行、ポンド円はやや分が悪い”との印象もありますが、“100%押し(135.604円 ⑪)”/“50%戻し(111.741円 ⑫)”への期待は膨らむところです。

 

(2017年6月9日執筆)

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ブロガープロフィール

武市 佳史

ファイナンシャル・プランナー 武市 佳史(takechi yoshifumi)

大阪府出身。ファイナンシャル・プランナー(AFP)、テクニカルアナリスト。
日本におけるFX(外国為替証拠金取引)の草創期より業務に従事。数多くの一般投資家と接しながら、現在はFX大手「マネーパートナーズ」のチーフアナリストとして、為替コラム執筆やWebセミナー講師を務めるのみならず、日経CNBCを始めとする数々のメディアに出演・寄稿している。「初心者には分かり易く、上級者も納得」がモットー。